【米国株】IPOしたての成長株が公募増資すると株価はどうなる?事例紹介
米国株投資家「IPOしたての成長株が公募増資したら、株価はどう動くんだろう。。具体的に教えて欲しいなぁ。」
このような悩みに答えます。
本記事の内容
- 公募増資とは
- 米国株が公募増資すると株価はどうなる【上がる?下がる?】
- 米国株の公募増資後の株価の推移【事例紹介】
米国株、特にIPOしたての企業で「公募増資をする!」というニュースがたびたび出ます。
この記事では、この公募増資が株価にどのような影響を与えるのかをお伝えしていきます。
それではよろしくお願いします。
記事の内容
米国株の公募増資とは
「そもそも公募増資ってなんなの?」という方向けにカンタンにご説明します。
公募増資とは新しい株式を発行し、その株を売りに出すことで資金を調達することです。
公募増資により、企業は新たに資金を得ることができ、より大きな資金を投資に回せるというわけです。これが将来の成長に繋がります。
米国株が公募増資すると株価はどうなる【上がる?下がる?】
結論からいうと、公募増資のニュースが報道されると、株価が下がるケースがほとんどです。
これは株式の発行数が増え、株式の価値が下がるために起こります。
具体的な事例としては、コロナのワクチン開発で話題となった、バイオンテックやモデルナが資金調達のために、公募増資を行い、株価が大きく下落しました。
ただ、この公募増資による株価の下落は、短期的なものなので長期投資をしている銘柄で公募増資があった場合には、買い増しもオッケーです。(あくまでも自己判断ですが。
)
もしくは難しいと思いますが、一度売って、下がりきったところで再度購入するのが一番利益を出せます。投資に自信のある人は試してみてもいいかもですね。
IPOしたての成長株が公募増資することは難易度が高い
ちなみに僕は米国株投資において、じっちゃま(広瀬隆雄さん)の考え方を参考にしています。
じっちゃまいわく、IPOしたての企業で公募増資するのは、〝ものすごく難易度が高い〟ことだそう。なので、そんな企業があれば、「見込みがある」と思っていいとのことです。
特にIPOしたてで良い決算をと抱きわせる形で、公募増資のニュースを出せる企業は、ほんの一握りの会社だけが許されることです。
成長期の子供が栄養を欲するのと同じように、大きく成長する企業というのは、株を増やしてでも資金を調達し、それを投資することで、より大きな成長に近づけることができるというわけです。
公募増資の値決めが済み、その後、株価が公募価格より下に下がらないことを確認できたら、再び強気で買い向かって大丈夫です!
反対に良い決算を出せない企業というのは、公募増資をしてしまうと株価が大きく下がって、投資から見放されますから、公募増資はできません・・。
【注意点】公募増資と私募増資(PIPEs)の違い
では、悪い決算の企業がどうするのかというと「私募増資」を行います。
特に私募増資の一種であるPIPEs(Private Investments in Public Equities ハイプス)により、投資会社に株式を引き受けてもらいます。
じっちゃまいわく、このPIPEsは「下品な商売の作り方」とのことなので、僕たち投資家もPIPEsにより資金を得ている会社への投資は注意する必要があります。
成長株へ投資する場合は、良い決算を出している、公募増資ができる企業を選ぶようにしましょうね。
米国株をスクリーニングして、成長株を探したい人はこちらの記事「スクリーニングで成長銘柄を見つける方法!CANSLIMで成長株を発掘しよう!」も参考に。
【米国株】スクリーニングで成長銘柄を見つける方法!CANSLIMで成長株を発掘しよう!
この記事は、数多く銘柄のなかから、スクリーニングして株価が上がる銘柄を発掘したい人向け。成長株を探し出すスクリーニングツールには、「FINVIZ」がベストです。記事を読むことで、スクリーニングツール「FINVIZ」の使い方、成長株をスクリーニングで見つけられるスクリーニング条件【CANSLIM】理解することができます。
米国株の公募増資後の株価の推移【事例紹介】
ここまでで公募増資が株価に与える影響についてご説明しました。
続いては、公募増資と株価の関係性をより理解するために、2020年以降に公募増資を行った米国企業企業をいくつかピックアップしてみます。選んだのは次の3社になります。
- ①バイオンテック(BNTX)
- ②モデルナ(MRNA)
- ③ロイヤリティファーマ(RPRX)
①バイオンテック(BNTX)
バイオンテック(BNTX)は、2020年7月21日に1株$93、売り出し株数は550万株で公募増資の実施を発表しました。(»参考記事はこちら)
発表直後、一時的に株価が上昇し$103ドルまで行きましたが、翌日には約90ドルまで下落。そして最終的には$65ドル付近まで下落しています。
ちなみに、その後バイオンテック(BNTX)は公募増資で得た資金を活かして、コロナワクチンの開発に成功し、大きく株価を上げています。(2021年11月5日終値で$220ドル)
公募増資した資金がよりうまく投資され、大きな株価上昇につながったケースですね。
②モデルナ(MRNA)
続いて、バイオンテック同様コロナワクチン開発に成功したことで知られるモデルナ(MRNA)をご紹介します。
コロナウイルスのワクチン開発していたモデルナ(MRNA)は、2020年5月18日に1株76ドル、売り出し株数は1760万株の公募増資を実施を発表しました。(»参考記事はこちら)
公募増資直前には、モデルナ(MRNA)が第1相臨床試験が上手くいっているというポジティブなニュースが出た後というタイミングでした。
それにも関わらず、公募増資前の株価($84ドル)から公募価格を下回る$70ドル付近まで下落しています。そして、数日後には50ドル台前半にまで大きく下落。
このように、良いニュースと抱き合わせる形で公募増資を発表しても、株価は大きく下落することになるわけです。
ちなみに、その後モデルナ(MRNA)はコロナワクチンの開発に成功し、大きく株価を上げています。(2021年11月5日終値で$240ドル)
バイオンテック同様、公募増資した資金がより大きな利益を生み出したケースです。
③ロイヤリティファーマ(RPRX)
ここまでのバイオンテック(BNTX)とモデルナ(MRNA)はどちらも公募増資後に株価が大きく上昇しているケースでした。
さいごに、公募増資後に株価が下がっており、現時点で戻っていないロイヤリティファーマ(RPRX)のケースもご紹介します。
ロイヤリティファーマ(RPRX)は10月15日に売り出し価格$42、売り出し株数約1700万株で公募増資を行うことを発表しました。
その際、株価は公募増資発表直後は売り出し価格の$42ドルを死守できましたが、最終的には、$35ドル台にまで大きく下落しています。
改めて再確認ですが、公募増資後の株価の下落は注意がありますね。
ちなみに、現在の株価は$40ドル付近です。(2021年11月5日現在)一時的に上昇はしましたが、その後再び下落に転じています。
原因は2020年の大統領選挙や長期金利の急騰などいくつか考えられますが、いずれもロイヤリティファーマのビジネスにはなんら影響はありません。
長期目線でジワジワ株価が上がってくるのを待ちましょう。
さいごに:公募増資後の株価の下落には注意が必要
ということで、今回の記事の内容は以上です。
簡単に内容をおさらいをします。
公募増資とは
公募増資とは新しい株式を発行し、その株を売りに出すことで資金を調達すること 公募増資により、企業は新たに資金を得ることができ、より大きな資金を投資に回せるというメリットがある。
米国株が公募増資すると株価はどうなるの?
短期的には公募増資が発表されると株価が下がるケースがほとんど この株価の下落は、株式の発行数が増え、株式の価値が下がるためにおこる。
具体的な事例としては、コロナのワクチン開発で話題となったバイオンテック(BNTX)やモデルナ(MRNA)、ロイヤリティファーマ(RPRX)をご紹介しました。
いずれの事例においても、公募増資発表後の株価の下落には、注意が必要かと思います。
ちなみに、じっちゃまいわく、IPOしたての企業で公募増資するのは、〝ものすごく難易度が高い〟ことだそうです。なので、そんな企業があれば、「見込みがある」と思っていいです。
成長期の子供が栄養を欲するのと同じように、大きく成長するIPO企業というのは株を増やして資金を調達し、それを投資することで、より大きな成長をする。
つまり、短期でなく長期でみるならバイ&ホールドでも大丈夫、ということです。
IPOしたての成長株投資では「決算」の確認が重要
最後に少しだけ補足ですが、IPOしたての成長株投資では「決算」の確認が重要です。
以下、2つの記事で決算結果・ガイダンスの調べ方を頭に入れつつ、成長株投資をしていくことを心からおすすめします。
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ということで今回の記事の内容は以上です。
今回の記事があなたのご参考になればとても嬉しいです。
それではまた。