QYLDで配当金生活するにはいくら必要?【超・高配当ETFのリスクも解説】
配当金生活を達成したいひと「QYLDという超・高配当ETFのことを知りました。早く配当金生活を達成するために、QYLDの活用も考えたい。QYLDで配当金生活するにはいくら必要なのかな、、、というか、QYLDで配当金生活するのにリスクはないの?」
このような悩みに答えます。
この記事を読んでわかること
- QYLDで配当金生活するにはいくら必要なのか
- そもそもQYLDはどんな仕組みのETFなのか
- 超高配当ETF・QYLDの抱えるリスク
夫婦で米国株・ETFに投資する個人投資家。夫婦計1000万円ほど運用中。
低リスクな運用・投資をメインに加え、高配当銘柄にも投資。年間10万~20万ほどの配当を得てます。
この記事では、配当利回り10%を上回る〝超〟高配当ETF【QYLD】にいくら投資すれば配当金生活ができるのかをお伝えします。(※厳密には配当ではなく分配金
)
QYLDは、配当投資家の界隈で話題になっていますし、実際に投資している人もチラホラ。
「配当金生活をしたいなー」そう思うひとなら、知らないと遠回りする可能性も。なので、これを機に確認していきましょう。
それでは最後までよろしくお願いします。
記事の内容
- QYLDで配当金生活するにはいくら必要なのか
- そもそもQYLDはどんな仕組みのETFなのか
- 超高配当ETF・QYLDの抱えるリスク
- QYLDへの投資でよくある質問Q&A【随時追加】
- さいごに:資産増ではなく、あくまでも分配金目的の投資先
QYLDで配当金生活するにはいくら必要なのか
結論だけはじめにお伝えすると、QYLDで配当金生活をするには「3800万円」必要です。
それではこれを一緒に計算していきましょう。以下に配当金生活の前提を記載します。
配当金生活の前提
- 生活費月25万円
- QYLDの配当利回り11%
- 税金:米国20%→日本10%なので、手取りはだいたい72%
上の前提条件をもとに、生活費「月25万円」を得るのに必要な投資額を計算すると、下のようになります。
QYLDで配当生活するのに必要な資産額
月25万×12ケ月÷11%÷72%=3788万円
一方、VOOやVTなどへのインデックス投資のみで、配当金生活をしようとすると、2~3億円の資産が必要です。
関連記事VOOやVTのインデックス投資で配当金生活はできるの?
これに比べると、QYLDの3788万円はかなり近い目標ですし、僕らみたいな普通のサラリーマンでも到達できる見込みがあります。
ということで、超高配当QYLDで配当金生活をするには、いくら投資すればよいのかが分かりました。
なお「いきなり配当金生活は少し現実味がない・・」という方はまずは月1万円~10万円の配当を目指すようにするといいかもです。「意外といけそう!!」と思うはずです。
以下にQYLDに投資した際の、投資額と配当金(分配金)の推移をまとめます。
QYLDへの投資額と配当金(分配金)の推移
QYLD投資額(万円) | 配当金/年(万円) | 配当金/月(万円) |
100 | 7.9 | 0.66 |
500 | 39.6 | 3.3 |
1000 | 79.2 | 6.6 |
2000 | 158 | 13 |
3000 | 238 | 19 |
5000 | 396 | 33 |
7000 | 554 | 46 |
10000 | 792 | 66 |
上記は、配当利回り11%、税引き後の手取りは72%で計算
日本人の平均給与は461万円
おまけですが、国税庁の調査によると、日本人の平均給与(総支給)は461万円です。
QYLDを5000~6000万円分保有すれば、日本人の平均的な給与所得者と同等の配当金を毎月得られます。
「本気で配当金生活がしたい!」「一刻も早くサラリーマンを卒業したい」と考える方にとってベストな選択肢だと感じます。
そもそもQYLDはどんな仕組みのETFなのか
ここまででQYLDで配当金生活をするのに必要な資産額をお伝えしました。
ところで、いくら超・高配当でも、その仕組みやリスクを理解できていないと、長期で保有できないですよね。
そこで次に超・高配当QYLDはどのような仕組みのETFなのか、そしてQYLDの抱えるリスクについてまとめます。
【基本情報】NASDAQ100・カバード・コール ETF【QYLD】とは
- 名称:NASDAQ100・カバード・コール ETF
- ティッカーシンボル:QYLD
- 運用会社:グローバルX社
- 配当利回り11.38%
(2021年12月29日現在)※だいたい10~12%で推移
- 純資産:49.3億ドル
- 設定日:2013/12/11
- 配当月:毎月配当
- 経費率:0.60%
繰り返しになりますが、QYLDの最大の特徴は、①超高配当(10%越え)、②毎月配当なところです。
ただ、QYLDが利益を上げている仕組み「カバード・コール」について、「初耳なんだけど。。。なんか怖い、リスク高そう。。」と感じるかと思います。
まずこの「カバード・コール」について、わかりやすく説明していきます。
「カバード・コール」ってなに?
カバード・コールとは
原資産を保有しながら、コールオプションを売り、その際のオプションプレミアムで利益を積み上げる戦略
ただ、ぶっちゃけコール・オプションとか言われても、馴染みのない人が大多数だと思いますので、もう少し噛み砕いてご説明します。
コールオプションとは、オプション取引のひとつ
オプションとは、特定の商品を決められた期日に、決められた価格で「買う権利」もしくは「売る権利」のことです。
オプション取引は、この「権利」を売買する取引のことです。
買う権利は「コールオプション」、売る権利は「プットオプション」と呼ばれる
オプションの買い手は権利を得る対価として、売り手に対してオプションプレミアム(イメージとしては手数料)を支払います。
カンタンにまとめると、QYLDはNASDAQ100を事前に決められた価格で買う権利(コールオプション)を売って、その手数料として、お金を儲けるという仕組みなわけです。
このカバード・コールは、事前に決められた価格(行使価格)以上の値上がり益を放棄するというデメリットはありますが、その代わりに、オプションプレミアム(手数料)を受け取れるというメリットがあります。
この説明を一度理解できた人はぶっちゃけ天才です。2~3回読んで、少し理解を深められば、オッケーです。
ここまで説明して、QYLDは過大なリスクを取っている銘柄でないことが分かると思います。
カバード・コールというオプション取引で利益を上げる銘柄なので、一見「過剰なリスクを取っているのでは?」と思ってしまいますが、少し勘違いだったようですね。
オプション取引→なんかわからない→危ないETF?というのは、完全に誤解
むしろ、ある程度の値上がりを諦めることで、値下がりリスクをオプションプレミアムでカバーしています。
超高配当ETF・QYLDの抱えるリスク
そんなQYLDにもリスクがあります。
QYLDの抱えるリスクは次の3つです。
なお、リスクを理解することで、危険を避けられるのでリスクの理解は必須です。
- QYLDの抱えるリスク①QYLDの上場廃止リスク
- QYLDの抱えるリスク②分配金利回り低下リスク
- QYLDの抱えるリスク③株価下落リスク
なお、上のリスクはQYLDだけでなく、そのほかの高配当ETF(SPYD等)も抱えるリスクです。これを機に確認しましょう。
リスク①QYLDの上場廃止リスク
一つ目のリスクはQYLDの上場廃止リスクです。QYLDという銘柄自体がなくなる、というリスクです。
ETFが上場廃止なるのはどんなときかというと、「リターンがあげられなくなることで、人気がなくなり、純資産額が小さくなったとき」です。
確認のために、グローバルX社の情報提供資料を見ると、QYLDのパフォーマンスと純資産推移は次の通りのようです。ご覧ください。
ぱっと見でもわかるように、純資産額は安定して増加しています。
ということで、純資産額が減ることで、上場廃止になることはなさそうですね。この純資産額が減ってきたら、要注意
補足:QYLDは現在、大人気ETF
QYLDはグローバルX社が運用するETFの中で第2位の運用資産残高を誇る人気のETFです。
なので、グローバルX社の規模を考えると、QYLDは現状で上場廃止になるリスクは限りなく低いと言えると思いますよ。
リスク②分配金の減配リスク
QYLDの二つ目の分配金の減配リスクです。
QYLDは〝超〟が付くほどの高配当銘柄なので、これが下がるということは、QYLDに投資する意味もなくなります。
なにより、分配金が減る→配当金生活ができなくなる
、なので、死活問題となります。
QYLDの増配や減配の発表は常に追いかけていく必要がありそうです。
ちなみに、QYLDの配当金が減少する(=オプションプレミアムが減少する)のは、株価の変動が小さくなったときです。
長期でNASDAQ100銘柄の株価変動が小さくなった場合にQYLDの利益が削られます。
ただNASDAQ100に含まれる銘柄は、世界中の投資家が見ている銘柄で、流動性も高いので、価格の変動も大きくなります。
株価の変動が小さくなり、QYLDの配当金が極端に減るという心配はしなくてもいいかもです。
リスク③株価下落リスク
三つ目のリスクは、株価下落リスクです。
配当利回りが高くても、株価が下がり続けて、トータルで見たら、配当でもらってた分以上に損していたら、意味ないですもんね。
そこでQYLDの設定以来の株価チャートを確認してみましょう。
長期でみると、少しずつ株価は上値を切り下げているように見えます。
株価チャートが右肩上がりだったら、サイコーでしたが、そんな甘くはないということですね。
ついでに言っておくと、僕はこのリスク③株価下落リスクが最もQYLDへの投資で心配なところです。
なので、大きく下がったところで安値で拾いたいなぁと思っていますが、なかなかそんなタイミングは来ません。笑
ただ、いまのところ分配金込みのトータルリターンで考えるとプラスリターンなので、この点は安心です。
QYLDのバックテスト(2013年~、配当再投資)
ただ、もし数年にわたってトータルでマイナスになるようだったら、完全に赤信号なので、売却を考えた方が良いかもですね。
QYLDへの投資でよくある質問Q&A【随時追加】
ここまでで、QYLDで配当金生活が可能なのか、QYLDのリスクについてお伝えしました。
次にQYLDへの投資でよくある質問について、まとめていきたいと思います。
- 質問①QYLDはVOOやQQQと比べてリターンはどうなの?
- 質問②QYLDの過去の配当金の推移は?
- 質問③QYLDにはどんな銘柄は入っているの?
質問①QYLDはVOOやQQQと比べてリターンはどうなの?(比較シミュレーション:2015~2021年)※配当再投資
最強の指数と言われるNASDAQ100・QQQと、S&P500・VOOの比較シミュレーションの結果は次の通りになります。
リターン:QQQ > VOO > QYLD
切り取る部分によって若干リターンは変動しますが、ほぼほぼ上記の順番は変わりません。
仕組みのところでもご説明しましたが、QYLDは値上がり益を放棄するというデメリットの代わりに、オプションプレミアム(手数料)を受け取ることで利益を上げています。
あくまでもQYLDは配当を目的とした投資、資産増を目指したいなら、QQQもしくはVOOへの投資と住み分ける必要がありそうですね。
質問②QYLDの過去の配当金の推移は?
カバード・コールという仕組みで、これまで安定して利益を上げ、配当金(正確には分配金)を支払い続けています。
これまでの配当金の推移は以下の通りです。ご覧ください。(2021年1月~10月)
- 2021年1月:$0.228815
- 2021年2月:$0.233300
- 2021年3月:$0.223860
- 2021年4月:$0.228265
- 2021年5月:$0.220700
- 2021年6月:$0.193932
- 2021年7月:$0.222997
- 2021年8月:$0.187861
- 2021年9月:$0.190247
- 2021年10月:$0.196591
過去を振り返ると、減配や増配を繰り返していますが、全体として、安定しています。
»2020年以前の配当実績を知りたい人はこちらのグローバルX社公式HP-QYLDからどうぞ。
質問③QYLDにはどんな銘柄は入っているの?
QYLDの構成銘柄TOP10企業を下の表にまとめます。
QYLDはQQQとほぼ同じ銘柄を保有しており、NASDAQ100に入っている今をときめく有名企業が名前を連ねています。
»全ての銘柄を確認したい場合は公式ホームページよりどうぞ
構成割合/% | ティッカーシンボル | 企業名 |
11.43 | AAPL | APPLE INC. |
10.71 | MSFT | MICROSOFT CORP |
8.02 | AMZN | AMAZON.COM INC |
4.98 | TSLA | TESLA INC |
4.23 | GOOG | ALPHABET INC-CL C |
3.96 | GOOGL | ALPHABET INC-CL A |
3.91 | NVDA | NVIDIA CORP |
3.78 | FB | FACEBOOK INC-CLASS A |
2.15 | PYPL | PAYPAL HOLDINGS INC |
2.11 | ADBE | ADOBE INC |
さいごに:資産増ではなく、あくまでも分配金目的の投資先
今回の記事では、配当利回り10%を上回る〝超〟高配当ETF【QYLD】配当金生活をするにはいくら必要なのか、QYLDの仕組みとリスクをお伝えしました。
以下で内容をおさらいします。
QYLDで配当金生活するには〝いくら〟投資すればいいのか。
月25万×12ケ月÷11%÷72%=3788万円
およそ3800万円をQYLDに投資すれば月25万円の生活費をまかなえます。
QYLDはどんな仕組みのETFなのか
QYLDはカバードコールで利益を上げていく戦略のETF
カバードコールとは
NASDAQ100を事前に決められた価格で買う権利(コールオプション)を売って、その手数料として、お金を儲ける仕組み
QYLDの抱えるリスク
- QYLDの抱えるリスク①QYLDの上場廃止リスク
- QYLDの抱えるリスク②分配金利回り低下リスク
- QYLDの抱えるリスク③株価下落リスク
QYLDはすでにある程度の資産を持っていて、配当のみを目的とした投資をしたい人にとって最適な投資です。配当金生活の強い味方になると思います。
一方で、資産を増やすフェーズの投資家にはあまり適さない投資対象かと思います。資産を増やしたいと思うのであれば、VOOやVOOへの投資がベストです。(バックテスト参照)←クリックするとジャンプします。
ということで本記事の内容は以上です。
それではまた~。